シャロン重態、振り子はどちらへ振れるのか?
政治力というのは、そこに暮らす人々の幸せのために使われるべきなのだが、歴史を見ると権力を得た者たちが、さらなる欲望のために民衆の望みなどとはおよそ正反対の戦争を引き起こしては血を流す。日本も満州など手に入れたばかりに、その後の満州事変、大東亜戦争へと傷口を大きく広げた。もともと満州で平和に暮らしていた人々にとって、ある日突如、ここは日本の領土となったといわれても抵抗するしかないだろう。
同じように、パレスチナの人々も政治的な判断から、突如住み慣れた土地がイスラエルという国になったから他へ行くように言われても途方に暮れるか、戦うかしかなくなる。異教徒の信じる宗教にその根拠が書かれてあったとしても、数千年前に歴史が戻せるわけがない。どちらも信じる唯一の神をバックボーンにして正義を振りかざし戦う。戦いは親から子へ、孫へと引き続がれ復讐の念は増幅される。 そして、すでに両者は消耗しきって疲れ果て、心のどこかで戦火の止むことを願っている。世界中の人々もそれを願っていた。オスロ合意によってその願いは叶えられるかに思えた。しかし、1995年、一部の過激な考えを持つ者によって絶たれてしまった。ラビン首相の暗殺である。その後イスラエルには最も強硬派であるネタニエフやシャロンが政権を取り、力でパレスチナを抑えようとしてきた。同胞アメリカもネオコンが勢力を強めてイラク戦争を起こし、この目論見は成功するように思えた時期がある。しかし、今やイラクは泥沼化し、アメリカの国力は衰えた。このままでは中東の孤児となることに気ついたシャロンが舵を左に切りはじめた矢先に飛び込んできたのが、シャロン倒れるのニュースだ。 若い頃からの戦士であり、多くのパレスチナ人を殺してきたシャロンと敵対してきた中東の国々やハマスにとっては天罰が下りたという感覚だろう。しかし、これを契機としてイスラエルはどちらに向うのか、気になるところだ。イスラエルの中にも和平を望む勢力としての労働党、ユダヤ原理主義ともいえるリクード、シャロンが作った中道カディマがある。新聞ではもうシャロンの回復はないように書かれている。ラビンの暗殺で右に振れた振り子がシャロンの死で元に戻るのであれば、私もシャロンの死を歓迎する。一神教を信じる民族の戦いを冷静に見つめていると、神とは信じる者たちだけに働きかけるものではないことが良くわかる。 (CNN)より転載****** 扇動的な発言で知られる米キリスト教保守派の指導者パット・ロバートソン師(75)が5日、イスラエルのシャロン首相(77)が重い脳卒中で倒れたのは、ガザ地区撤退で「神の地を分断した」ことに神罰が下ったためだ、と発言した。これに対してイスラエルの駐米大使はただちに強硬に抗議した。 このガザ撤退に反対していたロバートソン師は自身のテレビ番組で、シャロン首相が「一緒にいるととても好ましい人物だ」とした上で、「神の地を分断した」と批判。「国連や米国の機嫌を取るために同じような政策をとるイスラエルの首相には、誰でも同じように災難が下るだろう」「神は、『この地は私のものだ。触ることを許さぬ』とおっしゃっている」などと述べた。転載終わり** このおっさんは一日で100万人が説教を聴くという有名なテレビ伝道師ですが、本当に宗教というものが分かっているのでしょうか。こんな人の言うことを聞いているからアメリカ人はおかしくなってしまう。イエスの教えをもう一度始めから勉強し直したほうが良いと思いますねえ。
by 892sun
| 2006-01-08 10:22
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