ひとりごと、ぶつぶつ

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研究発表会にて

昨日は日本心霊科学協会の毎年恒例の会員たちが行う研究発表会でした。組織的行動が根っから嫌いで、協会へは精神統一だけの目的で長年通っていますが、もうそろそろ20年近くも経ち、お世話になりっぱなしながら、何のお返しもしないのでは、なんとも恩知らずに思えてきて、自己流で学んできたことのいくばくかをお話して、若い会員の皆さんに役立ててもらおうなんて殊勝な気持ちから、発表することにしたのです。

演題は、魂の年齢ということで、初めて人間として生まれてくるような未熟な魂から、カルマのくびきから開放された最後の人生を送る、老成した魂までの特徴について、この世でのお互いの関係、絡み合いも含めてかなり原稿は出来ていたのですが、今春、ダスカロスのメッセンジャーを読んで、衝撃を受け、急遽変更。メッセンジャーからのダスカロスの人となりと、エピソード、そして教えの核心である、内省、エレメンタル、など今までのスピリチュアリズムになかった考え方などをお話するつもりでした。

出番を待つ間、肝っ玉の小さな私は、上がってしまって喋れなくなったらどうしようと、そればかりが不安でした。そこで、守護霊さま、背後霊さまは言うに及ばず、シルバーバーチからダスカロスにまでお願いして、「どうぞ平常心が保てますようにお守りください」と祈っていました。他の人の話はもう耳には入らず、とても時間が長く感じられました。たった20分のはずなのに、とてつもなく長く思えて、自分はあんなに長い時間、きちんと話せるのか不安でしたが、原稿だけはきちんと作ってあったので、もし上がってしまったら、原稿を読めばいいやと腹をくくりました。

順番が来て、話を始めると、以外と落ち着いてお話をすることが出来たように思います。原稿を読むことはありませんでした。他人のときは、あれほど長く感じた時間が、あっという間に過ぎて、後5分のチンが鳴った時は、「えっ、もうそんなに経ったのかと思うほど、あっけなく終わってしまいました。話したいことに半分も話すことができず、単にダスカロスのプロフィールの紹介だけに終わってしまったのは、聞いていただいた人たちにも、ダスカロス本人にも心残りだと思われました。

でも、私自身も、まだダスカロスの教えについては消化できていなくて、勉強中なので、これでよかったのかもしれません。次回もまた挑戦したいと考えています。ここの会員の多くは霊的に敏感な方が多くて、私がお話をしている間、大きな強いエネルギーが来ていることを感じたと言ってくれた方が何人かいました。もしかしたら、小心な私のためにエネルギーを送ってくれたのだろうと信じています。守護霊さま、背後霊さま、シルバーバーチ、ダスカロス、皆様、本当に有難うございました。
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by 892sun | 2008-06-30 13:30 | Trackback

二日酔いです。

昨夜は、マイミクのPAWさんとノーツさんと3人で、同じくマイミクのふくわらいさんのお店へ行きました。前から一度行きたいと思っていたので、統一会でノーツさんとふくわらいさんが話しをして、即決定。行ってみてビックリ、素晴らしいお店。なんといってもセンスも雰囲気も最高で、中年オジサンたちが低予算で、ふらりと来るような店じゃない。出されたお料理もお酒も美味しくて、ついつい飲みすぎてしまいました。岩牡蠣も旨かったけど、酒の後の手打ち蕎麦の味が忘れられない。

というわけで、気がついてみたらもう1時を回っていて、なんとか渋谷までは辿り着いたものの、井の頭線はもう終電が出たあとで、渋谷からタクシーしか帰る方法がないのだけれど、金曜日の夜とあってタクシー待つひとは長蛇の列。でもこれしか方法がないので待っていると、白タクのお誘い。乗り合いでよければ安く行きますというので、白タクでご帰還と相成りました。

で、今朝はなんとかワンコの散歩だけは終えたけど、またその後はバタンと倒れこみ、先ほどまで寝てました。ウー気持ち悪い。お風呂に入ったらなんとか人心地。久しぶりの二日酔いです。
明日は協会で発表会なので、原稿の確認をしています。こんなんで大丈夫かな。
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by 892sun | 2008-06-28 18:23 | Trackback

第14話 すべては生きる姿勢しだい

アメリアという翻訳者ネットワークが主催している、スピリチュアル・エンデバー翻訳プロジェクトサイトから、会員の方が翻訳された心温まるスピリチュアルな短いお話を転載しています。

すべては生きる姿勢しだい       フランシー・バルタザール・シュワルツ作  
            翻訳者ILOVELONDONさん、 ナティーさん

ジェリーは、憎らしいけれども人から好かれる、といった類の男だった。いつもご機嫌で何かしら前向きなことを言っていた。最近どうだい、なんて聞かれれば彼はこう答えるだろう。「これ以上調子がよかったら、この身1つじゃもたないよ」

ジェリーは他には得がたいマネージャーで、彼がレストランを移る度にその後を追う接客係が何人かいるほどだった。接客係がジェリーについて行ったのは、彼の生きる姿勢に理由があった。ジェリーは、人にやる気を起こさせる天才だった。調子のわるい従業員がいれば、どうしたら物事のよい面を見られるかを話して聞かせた。

そんな彼の様子を見ていてとても興味を持った私は、ある日ジェリーのところに行って尋ねた。「わからないなぁ! いつも前向きでいるなんて、あり得ない。どうしたらそんな風にできるんだい?」

ジェリーは答えた。「毎朝起きると、自分に言うんだ。『ジェリー、今日は選択肢が2つある。ご機嫌でいるか、それともご機嫌斜めでいるか』僕は、機嫌がいい方を選ぶんだ。よくないことが起きると、その度に、犠牲者になるか、はたまたそこから何かを学ぶかを選べる。僕は、そこから学ぶことを選ぶ。誰かがグチをこぼしに来ると、グチを聞いてあげるか、人生のよい面を指摘してあげるかを選べる。僕は、人生のよい面を選ぶんだ」

「へえ、そうかい。そんなに簡単なことじゃないけどな」私は納得できずに言った。「簡単だよ」ジェリーは言う。「人生っていうのは、選択なんだ。余分なものを全部取り除いたら、状況はすべて選択だ。その場の状況にどのように対処するのか。自分の気分がどのように人に影響されるのか。気分よく過ごすのか、過ごさないのか。つまり、人生をどう生きるかは自分の選択しだいってことさ」私は、ジェリーが言ったことをじっくり考えてみた。

その後まもなくして、私は飲食業から離れ自分でビジネスを始めた。お互い連絡を取り合わなくなってしまったものの、私は人生の選択を迫られた時、決断する前に彼のことをよく思い出したものだ。

それから数年後、ジェリーは、レストランの営業中に決してやってはならないことを、やってしまった。ある朝、裏戸を開けたままにしてしまったのである。そして、武装した3人の強盗に銃口を向けられたのだ。ジェリーが金庫を開けようとしたとき、緊張から震えた手が、ダイヤル錠から滑った。強盗は逆上して彼を撃った。

幸いにも、ジェリーは比較的すぐに発見され、地元の外傷センターへと急送された。18時間の手術に耐え、集中治療室で何週間も過ごした後、ジェリーは弾丸の破片を体に残したまま退院した。その事件から半年ほど経った頃、私はジェリーに再会した。

調子はどうかと尋ねると、彼は「これ以上よかったら、この身1つじゃもたないよ。それより傷跡を見るかい」と答えた。私は傷を見るのは丁重に断ったが、強盗事件が起きたときに何が頭によぎったのかはしっかり尋ねた。

ジェリーは答えた。「まず思ったのは、 裏戸の鍵を閉めるべきだったってことさ」「それと、床に倒れながら、2つの選択肢があることを思い出した。生きるか死ぬかという選択肢がね、そして生きることを選んだ」

私は聞いた。「よく怖くなかったな。意識は失わなかったのか?」ジェリーは続けた。「救急スタッフは素晴らしかったよ。よくなりますよって僕に声をかけ続けてくれたんだ。でも救急室に運び込まれて医師と看護師の表情を見たときは、本当に怖くなったね。彼らの目が言ってたんだよ、『こいつはもう駄目だ』って。これは何とかしなきゃと思った」

「それで、どうしたんだい」と私は聞いた。「実はさ、体の大きな看護師がいてね、彼女が大声で叫びながらあれこれ僕に質問してたんだ」とジェリー。「アレルギーがあるかどうか聞かれてね。『あります』って答えたよ。医師と看護師は手を止めて、続きの言葉を待ってた。

僕は息を大きく吸って、『弾丸!』って叫んだのさ。スタッフが笑う中、その声をかき消すようにこう言ってやったよ。『僕は生きることを選んだんだ。僕を死人じゃなく、生きていると思って手術してください』ってね」

ジェリーは助かった。しかし、それは医師の優れた技術のおかげだけでなく、彼の見事な生きる姿勢の賜物でもあったのだ。私は彼から、人は毎日を精一杯に生きるという選択肢を持っていることを学んだ。結局、すべては生きる姿勢しだいなのだ。
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by 892sun | 2008-06-27 08:48 | Trackback(1)

第13話 無条件の愛とは

アメリアという翻訳者ネットワークが主催している、スピリチュアル・エンデバー翻訳プロジェクトサイトから、会員の方が翻訳された心温まるスピリチュアルな短いお話を転載しています。

無条件の愛とは ブレンダ作 翻訳者 I LOVE USAさん、wankoさん

私は3児(14、12、3歳)の母で、ついこの間大学の学位を取ったばかりだ。あれは、卒業に必要な最後の単位、社会学を取ったときのことだ。先生は、誰もがこんな人間性に恵まれていたらいいのにと思わせる資質をいくつも持ち、精神的な刺激をたっぷり与えてくれる人だった。先生の授業の最終課題は「スマイル」。

外へ行って、3人に笑いかけ、その人たちの反応をレポートにまとめるというものだった。私はとても気さくなたちで、もともと、いつでも誰にでも笑いかけて「こんにちは」と挨拶するほうだ。だからこの課題は、とても簡単だと思った。

課題が出てまもない、ある爽やかな3月の朝、私は夫、末っ子と一緒にマクドナルドへ出かけた。私たちは、こうやって息子と特別な時間を過ごす。私たちが列に並んで順番を待っていると、突然周りの人たちが列から離れて後ずさりし始めた。そしてそのうち、夫まで列から離れてしまった。

でも私は、その場から一歩も動けなかった。なぜみんなが離れてしまったんだろうと後ろを振り返りながら、体中に恐怖が満ちあふれてきてパニックに陥ってしまったのだ。頭を後ろに向けるにつれ、強烈な「汚れた体」の臭いが鼻をついた。そして、私の後ろに立っていたのは、2人の哀れなホームレスであった。

私の近くにいた背の低い紳士に視線を落とすと、その人の顔には「スマイル」があった……。受容を求めるその美しいブルーの瞳は、神の光で満ちあふれていた。「こんにちは」と男性は私に挨拶すると、その手にしっかりと握りしめていた数枚の硬貨を数えた。もう1人は、友人の後ろで両手をもぞもぞと動かしていた。

この人には知的障害があるんだ、そして青い目の紳士は、この人の救世者なのだと私は気づいた。あふれそうになる涙をこらえながら、私は2人のそばに立っていた。カウンターの若い女性店員が、何になさいますかとその人に尋ねた。

「コーヒーを1杯だけお願いします」とその人は答えた。2人の持っているお金では、それだけしか買えなかったからだ。(レストランで椅子に座って体を温めるには、何か注文しなければならない……。2人は、ただ少し暖まりたかっただけだった)。

そのとき、何かが衝き上げてきて、私の胸はいっぱいになった……。その気持ちを抑えきれずに、手を伸ばして、青い目の小柄な男性を抱きしめそうになったほどだ。私の行動を見届けようと、レストランにいる全員の視線が自分に集まっていることに気づいたのはそのときだった。

私はカウンターの店員に笑顔を向け、トレイを別にして2人分の朝食を追加してくれるよう頼んだ。それからカウンターのところを曲がり、2人が休憩場所に選んだテーブルまで歩いていった。私はテーブルの上にトレイを置くと、青い目の紳士の冷たい手に自分の手を重ねた。

紳士は目に涙を浮かべて私を見上げ、「ありがとう」と言った。私は腰をかがめて彼に近づき、その手をやさしくさすりながら言った。「私じゃないの。ここにいる神様が、私を通じてあなたに希望を与えようとしているの」

夫と息子のいる席に向かいながら、私は泣き出していた。席につくと、夫は微笑みながら言った。「神様が君を僕に遣わしたのはこのためだったんだね。僕に希望を与えるためだったんだ」

私たちは、しばらく互いの手を握りしめていた。2人とも、神の恵みがあるからこそ与えることができるのだとわかっていた。私たちはいつも教会に通っているわけではないが、神は信じている。その日の出来事は、神の慈愛の純粋な光を私に見せてくれた。

私は大学に行き、最後の夜の授業を受けた。その話を持って。「課題」を提出し、先生がそれを読む。読み終えると、私を見てこう尋ねた。「みんなにも聞いてもらっていいかしら?」私がゆっくり頷くと、先生はクラス全体に呼びかけた。

先生が読み始めたとき、私は、誰もが人間(神の一部)としてこのように癒したいという思いを抱いているのだと悟った。私は私なりの方法で、マクドナルドにいた人たちや夫、息子、先生、そして大学生として最後に過ごした夜に授業をともに受けた、1人ひとりの心を揺さぶったのだ。

私は、人生で最も大切な教えのひとつ、つまり「無条件の受容」を学んで卒業した。結局、私たちは学ぶためにここに存在しているのだ!

原文はこちらです。対訳形式になっていますから、翻訳の参考になると思います。


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by 892sun | 2008-06-26 10:25 | Trackback(1)

第12話 神様の落し物

アメリアという翻訳者ネットワークが主催している、スピリチュアル・エンデバー翻訳プロジェクトサイトから、会員の方が翻訳された心温まるスピリチュアルな短いお話を転載しています。

神さまの落とし物 メアリー牧師作 翻訳者 ボンさん、JONESさん、cloverさん、P-koさん

凍えるように寒い日のことだった。歩いて家に帰る途中、道に財布が落ちているのに私は気づいた。 拾い上げて、持ち主の連絡先がわかるようなものはないか、中を調べてみた。けれど財布には3ドルと、まるで何年も入ったままのようなしわだらけの手紙が1通あるだけだった。

封筒はすり切れ、何とか読み取れるのは差出人の住所だけだ。手がかりはないかと、便箋をとり出し広げてみる。ふと日付が目に留まった――1924年だった。これは60年近く前の手紙なのだ。

. 左隅に小花模様のある水色の便箋に、女性らしい美しい筆跡でその手紙は書かれていた。それは恋人に別れを告げる手紙で、マイケルという男性に宛てたものだった。「あなたとはもうお会いすることはできません。母に禁じられてしまったのです。でも、わたしはこれからもずっと、あなたを愛し続けます」とつづられていた。最後にハンナとサインがしてあった。

心を打つ手紙だった。けれど財布の持ち主と結びつくものは、マイケルという名前以外、何もなかった。番号案内に電話をかければ、封筒の住所で登録されている電話番号を、交換手に探してもらえるだろうか。「ちょっと変わった用件なんですが」と、私は交換手に切り出していた。「実は、拾った財布の持ち主を探しているんです。その財布には手紙が入っていたんですが、封筒に書かれた住所で登録された電話番号があるか、何とかして知りたいんです。教えていただくことはできますか?」

交換手は、責任者と話ができるよう電話を取りついでくれた。責任者は少しためらってから、こう答えた。「確かにその住所で電話番号のお届けはありますが、お客様にお教えすることはできません」ただし今回だけは、相手に電話をして事情を説明した上で、話をする気があるか確かめてくれるとのことだった。

私がそのまま電話口で2、3分待っていると、責任者がもう一度出てきた。「先方がお出になりました。お話ください」私は相手の女性に、ハンナという人物を知っているかどうか尋ねた。女性ははっとして言った。「そういえば、うちの家はあるご家族から買ったんですが、そちらにハンナという娘さんがいましたよ。もう30年も前の話ですけど!」

「そのご家族が今どこにいるかわかりませんか?」私は重ねて訊いた。
「たしか何年か前、娘さんは事情があってお母さんを老人ホームに預けられたはずですよ」女性は言った。
「たぶんそこに連絡を取れば、娘さんの居場所をつきとめてもらえるんじゃないかしら」
老人ホームの名前を教わった私は、さっそく電話をしてみた。

ホームの職員は、その方は数年前に亡くなりましたが、娘さんならここに住んでいるかもしれませんと言って、ある電話番号を教えてくれた。私は職員にお礼を言い、その番号に電話をかけた。電話に出た女性によると、今ではハンナが老人ホームで暮らしているという。

全くばかげてる、心の中でひとりごちた。なぜ俺は、この財布の持ち主を見つけ出すのにこんなに躍起になってるんだろう。 たった3ドルと、60年近くも前の手紙しか入ってないというのに。

それでもやはり、ハンナが暮らしているという老人ホームに電話をしてみた。すると男性が出て「ああ、ハンナならここで暮らしていますよ」と言った。すでに午後10時ではあったが、今から彼女に会いに行けるか訊いてみた。「そうですねえ……運がよければ、まだ談話室でテレビを見ているかもしれませんが」職員はためらいがちに答えた。

彼にお礼を言って、私はその老人ホームまで車を走らせた。入口で夜勤の看護婦と警備員が出迎えてくれ、私は看護婦と一緒にその大きな建物の3階へと向かった。談話室で、看護婦は私をハンナに紹介してくれた。

ハンナは笑顔の温かい、目がきらきらした愛らしい白髪の老婦人だった。私は財布を見つけたということを伝え、入っていた手紙を見せた。左隅に小花模様が入った水色の封筒を見た途端、ハンナははっと息を飲んだ。「お若い方、この手紙は、マイケルとの最後の連絡となったものなんですよ」

ハンナは考えこんだ様子で一瞬遠くを見つめた後、穏やかに言った。「彼を心から愛していたわ。でもその頃、私はまだ16歳。母は私が若すぎると思ったようね。ああ、彼は本当に素敵だった。俳優のショーン・コネリーみたいだったのよ」

ハンナは続けた。「そう、マイケル・ゴールドスタインは素晴らしい人だった。もし彼を見つけるようなことがあったら、あなたのこと、よく考えているのよって伝えておいて。それと……」唇をかみしめるようにして、ハンナは一瞬ためらった。「まだ彼のことを、愛しているともね。私は……」ハンナは微笑んでいたが、その目には涙があふれていた。「一度も結婚しなかったの。マイケルほどの男性には出会えなかったということね……」私はハンナにお礼を言って、その場を離れた。

エレベーターで1階に下りて入り口へ行くと、警備員に声をかけられた。「おばあさんに何か話してもらえましたか?」私は、手がかりになりそうなことを教えてもらったと答えた。「少なくとも苗字が分かりました。でも、しばらくはこのままにしておこうと思います。この財布の持ち主を探すのに、丸一日を費やしてしまいましたから」

私は財布を取り出した。シンプルな茶色の皮のケースで、ふちに赤いステッチが施されている。するとそれを見た警備員が言った。「ちょっと待ってください。それはゴールドスタインさんの財布ですよ。真っ赤なステッチがついていますから、見間違えるわけがありません。いつもその財布をなくすんです。少なくとも3回はホールでそれを見つけたことがありますよ」

「ゴールドスタインさんというのはどなたですか?」私は手が震えるのを感じながら訊ねた。「8階にいる古株のひとりです。絶対にマイク・ゴールドスタインさんの財布ですよ。今日の散歩中に落としたに違いありません」警備員にお礼を言い、足早に看護婦のいる部屋へ戻った。

警備員の話を看護婦に伝えると、私たちは再びエレベーターに乗り込んだ。ゴールドスタインさんがまだ起きていますように……。8階に行くと、フロアの看護婦が「たぶんまだ談話室にいると思うわ。夜に本を読むのが好きな素敵なおじいさんよ」と答えた。灯りのついた部屋が1つだけあり、そこに入っていくと、ひとりの男性が本を読んでいた。

看護婦はその人に近づくと、財布をなくしてないか訊ねた。ゴールドスタインさんは驚いて顔を上げ、ズボンの後ろポケットに手を入れた。「あれ、なくなってる!」「この親切な方が財布を見つけてくださったんですが、もしかしたらあなたのではないかしら?」

私がゴールドスタインさんに財布を渡すと、それを見たとたん彼はホッと笑顔になった。「そうです、これです。今日の午後、ポケットから落ちたに違いありません。ぜひお礼をさせてください」「いえ、結構ですよ」私は断った。

「実はお話しなければならないことが……。財布の持ち主を探したいと思って、手紙を読んでしまったのです」

彼の顔からさっと笑みが消えた。「あの手紙を読んだのですか?」「読んだだけでなく、ハンナがどこにいるかも知っています」彼の顔からみるみる血の気が引いていった。「ハンナ? どこにいるのかご存知なのですか? 元気にしてますか? あの愛らしさは、今でも変わっていませんか? お願いです、どうか教えてください」彼は必死で訊ねてきた。

「元気ですよ。あなたの知っている頃と変わらず、かわいらしい女性ですよ」私は優しく答えた。老人は、期待のこもった微笑みを浮かべて訊ねた。「彼女の居場所を教えてくれませんか? 明日、電話したいんです」

彼は私の手をぎゅっとつかんで言った。「聞いていただきたい……。実は、私はかつてその人をとても愛していました。ですから、その手紙が届いた日に、私の人生は終わったも同然だったんです。一度も結婚はしませんでした。ずっと彼女のことが忘れられなかったんでしょう」

「ゴールドスタインさん」私は声をかけた。「一緒に来てください」私たちはエレベーターに乗り、3階へと下りていった。廊下は暗く、小さな常夜灯が1つ2つぽつんとついているだけだった。廊下を通って談話室に行くと、ハンナはひとり座ってテレビを見ていた。

看護婦がハンナの方へ近づいていった。「ハンナ」看護婦はそっと声をかけ、私と一緒に入り口のところで待っているマイケルを指さした。「あの方をご存じ?」ハンナはめがねをかけ直してしばらく見ていたが、何も答えなかった。

マイケルはほとんどささやくように言った。「ハンナ、マイケルだよ。覚えているかい?」ハンナははっと息をのんだ。「マイケル! 信じられないわ! マイケル、あなたなのね! おお……、マイケル!」マイケルはゆっくりとハンナの方へと歩いていき、ふたりは抱き合った。

看護婦と私はその場を離れた。私たちの頬には涙がつたっていた。「そうさ」私は口にした。「ほら、神さまは見捨ててなんかいなかった! そうなる運命だったんだ」

それから約3週間がたち、私の職場に老人ホームから1本の電話があった。

「日曜日はご都合がつきますか? 結婚式に出ていただきたいのです。マイケルとハンナが結婚することになったんですよ」それは素晴らしい結婚式だった。ホームの人たち全員が、このお祝いのために着飾って集まっていた。ハンナは薄いベージュ色のドレスに身を包み、その姿は美しかった。マイケルは紺色のスーツを着て、背すじを伸ばして立っていた。

ふたりは私を花婿の付添人にしてくれた。施設側はふたりに専用の部屋を用意した。76歳の花嫁と79歳の花婿は、まるで10代のカップルのように仲むつまじかった。60年近くも続いたふたりの恋は、最高にしあわせな結末を迎えたのだった。

原文はこちらです。対訳形式になっていますから、翻訳の参考になると思います。
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by 892sun | 2008-06-25 10:12 | Trackback

真実を伝えることが出来ないメディア

日本にとってアメリカの大統領といえば、宗主国の大統領のようなものであり、その大統領が弾劾されたことは重大なことですが、日米のメディアは一切伝えていません。そのような大切な記事を何故、メディアは伝えないのでしょうか?理由として考えられることはの一つは、事実ではなく、そのようなことはなかったことであり、もう一つは伝えたくても伝えることが出来なかった。真実が伝わっては困るから、伝えるなという大きな力が働いていた、ということではないでしょうか。しかしネットでは知ることができます。あったのか、なかったのか、真実か嘘なのか読者の判断に委ねます。そしてこれが現在の世界の現実の姿であり、日本政府の態度であることを知って欲しいと思います。

フォトンベルトリポートのメルマガより転載します。

メディアが伝えない米国下院での「ブッシュ弾劾法案」可決の事実

 今年の6月10日、米合州国連邦下院議員でオハイオ州選出のデニス・クシニッチ民主党議員が「ブッシュ大統領の弾劾を求める決議法案」を下院に提出した。その結果251対156という圧倒的多数で可決され、その法案が司法委員会に送付されることになりました。
 これは、日本でいえば内閣不信任案に相当するものですが、米国は勿論日本のメディアもこの事実を無視していてまったく伝えていません。この弾劾決議案文は全体で58ページもあって、デニス議員が下院議会で5時間もかけて読み上げましたが、この時の模様が議会テレビで中継されYouTubeで見ることが出来ます。
http://nz.youtube.com/watch?v=1qy3z7XWtQc&feature=related

http://nz.youtube.com/watch?v=1qy3z7XWtQc&feature=related
 この法案の主な骨子は、
1)ブッシュ大統領が偽りの理由で戦争を始めたこと、
2)国内法と国際法に反してイラクに侵略したこと、兵士たちに充分な物資を提供しなかったこと、
3)政治的理由で被害状況を隠したこと、
4)不法にアメリカ国民と外国人を勾留したこと、その他、地球温暖化対策、選挙権、国民健康保険、ハリケーン・カトリーナ対策などをとりあげていて、それらがことごとく憲法違反であるとしています。

 以下が、弾劾法案の詳細な条項です。
1条:対イラク戦争の根拠を正当化させるために秘密裏にプロパガンダ工作をしたこと。
2条:911事件を不当に、組織的にかつ犯罪的意図をもって利用し、イラクを安全保障上の脅威と関連づけ、偽って侵略戦争を正当化したこと。
3条:アメリカ国民と議会メンバーを欺いて、イラクが大量破壊兵器を所有しているかのように信じ込まさせ、戦争の根拠を捏造したこと。
4条:イラクがアメリカ合州国への差し迫った脅威であるかのように、アメリカ国民と議会メンバーを欺いて信じ込ませたこと。
5条:侵略戦争を秘密裏に始めるために不法に出費したこと。
6条:議会決議HJRes114の必要条件に違反してイラクを侵略したこと。
7条:宣戦布告なしにイラクに侵略したこと。
8条:国連憲章に違反して独立国家であるイラクを侵略したこと。
9条:兵士に防弾チョッキと装甲車を与えなかったこと。
10条:政治的な目的でアメリカ軍兵士の死傷者数を偽ったこと。
11条:イラクに恒久的なアメリカ軍基地をつくったこと。
12条:イラクの天然資源を支配するために戦争を始めたこと。
13条:イラクと他に国々に関してエネルギー開発と軍事政策のための秘密部隊をつくったこと。
14条:重罪隠匿、極秘情報の不正使用と不正公開、および中央情報局(CIA)の秘密エージェント、ヴァレリー・プレーム・ウィルソン問題における司法妨害。
15条:イラクでの犯罪コントラクター(請負い業者)の告発を免除したこと。
16条:イラクとアメリカのコントラクター(請負い業者)に関連して、アメリカの税金を誤って浪費したこと。
17条:不正な勾留:正当なる告発なしにアメリカ市民と外国人捕虜を無期限に勾留したこと。
18条:公式な政策として、アフガニスタン、イラク、その他の地域の捕虜に対して、秘密裏に拷問を容認し、奨励したこと。
19条:引き渡し:ひとびとを拉致し、その意思に反して、拷問を行う国や他の国の秘密基地に引き渡したこと。
20条:子どもたちを投獄したこと。
21条:議会とアメリカ国民にイランの脅威を偽って煽り、イラン政府を転覆させる目的でイラン国内のテロ集団を支援したこと。
22条:秘密の法律を作成したこと。
23条:ポス・コミテータス法(注:民警団法/1878年にアメリカで成立した連邦法で、国内の治安維持に陸軍、空軍、州兵を動員することを禁じたもの)の違反。
24条:裁判所の捜索令状なしに、また法律や合衆国憲法修正第4条(注:不法な捜索や押収の禁止)に違反してアメリカ市民をスパイしたこと。
25条:電話会社を使って、憲法に違反するアメリカ市民のプライベートな電話番号とEメールアドレスのデータベースを不正につくらせたこと。
26条:サイニング・ステートメント(大統領署名声明)によって法律違反の意向を表明したこと。
27条:議会召喚状に応じないこと、また元のスタッフに応じないよう指示したこと。
28条:自由で公正な選挙への干渉、司法行政の腐敗。
29条:1965年の選挙権法の違反謀略。
30条:議会とアメリカ国民を欺いてメディケア(国民保険)をなくそうとしたこと。
31条:カトリーナ;予想されていたハリケーン・カトリーナ災害への対策を怠ったこと。社会的緊急時への対応を怠ったこと。
32条:議会とアメリカ国民に事実と異なる説明をし、地球温暖化問題に対応する活動を組織的に妨害したこと。
33条:911事件以前にあったアメリカへのテロ行為に関するハイレベルの情報警告に対して、くりかえし無視し対応することを怠ったこと。
34条:911事件の調査に対する妨害。
35条:911事件で最初に救援活動したひとたちの健康を脅かしたこと。
(翻訳:森田玄氏 http://moritagen.blogspot.com/)

 以上、ことごとくがまっとうな主張ばかりです。果たして追い詰められたブッシュ大統領やチェニー副大統領は、これからどのような反撃を試みるのでしょうか。 米議会の動きについては、これより以前の3月に「秘密会議」が行われたという情報があります。情報源は、米国のキリスト教関係者によって発信されている「Last Trumpet Newsletter」(http://www.lasttrumpetministries.org/)で、その5月号に3月13日に開かれた秘密会議では、
1)2008年9月の米国経済崩壊。
2)2009年2月の米国政府の財政破綻。
3)米・カナダ・メキシコの統合。
4)合衆国崩壊による内戦の可能性。
5)反政府運動者に対する拘束および収容に関して。
6)議会議員およびその家族の身柄の安全確保に関して。
……について討議されたというのです。

 ある試算によると米国のイラク占領のコストが、1秒あたり50万円で1日当たり7億2000万円もかかっています。このような莫大な出費が、米国の国家財政を疲弊(ひへい)させています。米国の経済破綻に関しては今後いままで以上に悪化するのは間違いなく、米国の某経済アナリストのサイト(http://www.financialsense.com/)では、英国のロイヤルバンク・オブ・スコットランドが最近自行の顧客対し、ニューヨーク証券取引所のS&P500が9月に1050まで下落すると警告しているというのです。 かりにS&P500が1050ポイントまで下落すると、まさにそれは金融崩壊という事態と言えます。
 フランスのシンクタンクEUROP2020(http://www.leap2020.eu/)も今年の6月か
ら7月にかけての時期から、世界的な金融崩壊が本核的に始まると警告しています。 そして秋には間違いなく、米国のドル体制は崩壊するとも予測しています。今後米国の崩壊が、世界中に甚大な影響を与える筈です。
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by 892sun | 2008-06-24 12:15 | Trackback

第11話 最後のひとり

アメリアという翻訳者ネットワークが主催している、スピリチュアル・エンデバー翻訳プロジェクトサイトから、会員の方が翻訳された心温まるスピリチュアルな短いお話を転載しています。

最後のひとり オースティン・レパス作 翻訳者 saciさん、チョコごんたさん、mipoさん、
Tiareさん、ちびさん、モルガンさん

老人は前かがみになり、わずかに首をかしげて考えていた。自分はどこにいるのだろう。これはすべて夢なのか、それとも死んでしまったのだろうか。

老人は長年、古代の沼のそばにある暗い洞窟にひとりで暮らしていたはずだった。ところが今は、大きなホールの中で、あたりを見回しているのだ。ホールはろうそくの光だけで照らされているのに影はなく、すべてがその内側からの透き通った光で満ちあふれているように見えた。目を細めてまわりの人々を観察してみると、彼らもまた内なる光で輝いているように見えた。

すると、そのうちのひとりが老人に微笑みかけてきた。だが、老人は眉をひそめ、あごひげを掻いた。どうして自分が特別な客としてもてなされているのか、わからなかったのだ。また、どういう意味か知らないが、あなたが最後のひとりなのだと人々は老人に言うのだ。

しかし老人は、遠い昔のあのときに自分がしたことが発覚するのを恐れ、彼らと口をきかなかった。すると、突然ホールが静まりかえり、大理石のアーチから真っ白な髪をした女性が白いローブをなびかせて歩いてきた。彼女はゆっくりと、老人とは反対側のホールの端にある自分の椅子に座った。それは老人が腰掛けているのとよく似た、玉座のような椅子だった。

「ようこそ、みなさん」

白い髪の女性の声は、クリスタルのようにホール全体に響き渡った。すると、彼女は老人の方を向いて言った。「私たちは長いことずっとあなたを探していました。そしてついにあなたを見つけたのです。ようこそいらっしゃいました」

老人は白い髪の女性をじっと見つめ返した。女性は想像以上に年をとっていたが、ほのかなろうそくの明かりの中では信じられないほど若く美しく見えた。以前その女性に会ったことがあるかは思い出せなかったが、彼女は老人の奥深くに眠る、忘れられていた記憶を呼び覚ました。

「今日はお祝いの日です」白い髪の女性は続けた。「いつものように、あのときの話でお祝いを始めましょう」 そう言うと、彼女は間をおいて話し始めた。「はるか昔のあの頃、人間は、自らの暗いさなぎを今にも脱ぎ捨てようとしている蝶のようなものでした。でも、住み慣れた世界を去るのを怖がる、臆病な蝶だったのです。

当時、前へ進むのに必要なすべてを、人間は持っていました。でも、彼らは古いやり方にしがみついたのです。恐れのあまり、人間は古い信念にしがみついたのでした。「愛と共に生きるあなた方には、恐れの感情に深くとらわれることなど想像できないかもしれません。しかし、当時人間は恐れと共に生きていました。この恐れこそ、人間の心の解放を阻んでいるものだったのです。恐れで充満した心には、もはや愛を生み出す余地などありません。

そして恐れを取り去るために、人間はある出来事へと引き寄せられていきました。それは、人間自身が最も恐れていたもの――世界の終わりでした。世界の終わりは、戦争によってもたらされるものと誰もが思っていましたが、実際にはすべての戦争を終結させるものとなりました。 当時、海は人間の持つ恐れの感情に汚染され、死にかけていました」

老人は身を乗り出した。当時のことを知っていたからだ。それは彼の時代のこと。海を死に追いやったのは、恐れなどではなかった。「海が死にかけていたときのことを知っている」彼は叫び出したい衝動に駆られた。「海に流される工業排水のせいで、海に住むすべての生き物、ほとんど目に見えないようなプランクトンまで死にかけていることが科学者の調査で分かったんだ。

さらに酸素の大部分は森林ではなく、プランクトンというちっぽけな生物が吐き出しているものだということも分かった。これは世界にとって衝撃的な事実だった。何しろ、プランクトンが死んでしまったら、森の奥深くに住むわずかな種を除いて、呼吸をする生き物はひとつ残らず死んでしまうことになるのだから。科学者の予測では、我々に残された時間はあと2年しかなかった」

老人は立ち上がってこれらのことを叫びたかったが、できなかった。彼は恐れていたのだ。自分がしたことを皆に知られてしまう、と。

白い髪の女性は続けた。「世界の国々を結束させたのは、恐れの感情でした。当時、世界をひとつにできるものは、それしかなかったのです。2年後にひとり残らず死んでしまうのなら、戦うことに何の意味があるでしょう?そこで世界中の国が集まり、昼も夜もなく連日の議論を重ねた結果、海を救う任務にあたる4人のリーダーが選ばれました」

「まず、4人のリーダーはあらゆる国から専門家を集め、問題に取り組ませました。それから、飢餓に苦しむすべての地域に食糧を供給するよう指示しました。これによって、人々は飢えに脅かされることがなくなりました。しかし、4人の取り組みで最も注目すべきことは、地球上のすべての人に、実際に何が起きているのかを分かるようにしたことでした。

すべての人に真実を知らせること――これは、世界中にはびこる恐れの連鎖を断ち切るための最初の一歩でした。4人は、離れた場所にいてもお互いに相手を見たり聞いたりできる装置を使って、これを実現しました」

老人は白い髪の女性が言ったテレビの描写に思わず微笑んだ。そして当時の様子を思い出した。世界中の家庭に1台ずつテレビが支給され、皆決まった時間になると、瀕死の海を救う薬が発見されたかどうかを確かめていた。とうとう残りあと14ヵ月に迫ったころ、リーダーたちは毒性を中和する可能性のある化学物質が見つかったと発表した。

老人はそのときのことをはっきりと思い出した。連日連夜、人々は海にまくのに十分な量の化学物質を作るために働いていた。懸命に働きながらも、皆楽しんでいるように見えた。あのときは、見知らぬ者同士でも、仕事の手を休めては互いに話をしたものだった。そして、運命の日がやってきた。化学物質を積み込んだ無数の船が沖へ向かった。

. しかしその後、効果が現われるかどうか何週間も待たなければならなかった。そして老人が22歳を迎えたその日、結果が発表された。海は解毒されていなかった。計画は失敗に終わったのだ。22歳の彼の人生はスタートを切ったばかりだったが、すべてはこれで終わりだった。老人は当時のことを思い出すと、こぶしを強く握りしめた。

そして、あのときの失敗が目の前にいるこの白い髪の女性のせいであるかのように、彼女をじっと見つめた。しかし女性は話を続けた。「世界の国々は海を救うことができませんでした。しかしそれは、本当の失敗ではありませんでした。ただ『失敗したように見えただけ』なのです。つまり、世界中が争うことを止め、戦争が終焉を迎えたこと、それこそが真の成功だったのです!」

老人は女性をじっと見つめた。彼は実際に体験したので、当時のことをよく知っていた。海を救うプロジェクトは失敗し、人々は死に直面していたのだ。老人は、白い髪の女性が続けて話しているのを、信じられない思いで聞いていた。

「世界中の人々はショックを受け、怒りました。皆一生懸命努力したにもかかわらず、それでもまだ、自分たちは失敗してしまったのだと思い込んでいたのです。しかし、世界の歴史上初めて、地球に住む人々が1つの目的に向けて協力し合った、それこそが真実だったのです。今や人々は、お互いを信頼していました。次の段階へ進む準備ができていたのです」

老人は白い髪の女性を険悪な表情で見つめた。そして4人のリーダーたちが、地球にはあと5ヵ月分の酸素しか残っていないと発表したときのことを思い出した。何か予期せぬことが起こる可能性について論じていたのだ。それは、人間の体が進化して、酸素がなくても生きていけるようになるかもしれない、というものだった。それはまったくばかげた考えだったのを、老人は知っていた。まるで「違うと言うなら説明してみろ」と言わんばかりに、老人は白い髪の女性をにらみつけた。

白い髪の女性は老人に向かって微笑んだ。そしてどういうわけか、彼は突然、リーダーのひとりが女性であったことを思い出した。彼女は癌の治療法を発見し、世界中から賞賛されていた。 1人のレポーターが「世界の苦境を救うゴッドマザー」と呼び、それ以来親しみを込めてただゴッドマザーとして知られていた白い髪の女性。シニアメンバーだった彼女は、4人のリーダーの中で最後に話した。

彼女がかつて話した言葉が、老人の頭に浮かんだ。「道はまだひとつ残されています。わたしたちが変わるのです。あなた方の大半は、今の自分と違う何かに変わることなど、実際には無理だという思いにとらわれているようですが、そんなことはありません」

「けれど、まず私たちは古い信念を捨て去らなければなりません。私たちそれぞれが、起こったことに対して責任があるという事実を受け入れる必要があります。お互いを非難してはなりません」

老人は、自分がしたことなど考えたくもなかった。そして考えを他に逸らせようとした。しかし、彼は白い髪の女性の言葉で引き戻された。「その最後の数ヵ月が人類の歴史で最も重要な時間だったのです。海洋を破壊し、世界を汚染していたのは自らの恐怖だということを、人々は理解し始めたのです。徳のある人たちでさえ、自分たちも愛よりむしろ恐れから行動していたことに気づき始めました」

「けれども、史上最も暗黒なときでさえ、人類は立派な行いができました。世界中の人々が、ゴッドマザーにメッセージを送り始めたのです。『子供たちを救う道を何とかして見つけてください。子供たちは、若くて恐れを知らず、古い習慣に縛られていません。彼らに不可能は無いのです。子供たちなら、きっと変えることができます。たぶん、森の奥深くには、彼らが生きるのに十分な酸素があるでしょう。少なくとも試してみることができるくらいは。子供たちを救う道を何とかして見つけてください』そこには、自分や家族の枠を超えて世界中に広まった思いやりの気持ちがありました。それは、蝶がさなぎから飛び立つ準備ができているという印でした」

白い髪の女性は話すのをやめて、長いこと老人をじっと見詰めた。彼は今にもホールから逃げ出してしまいそうなくらい、取り乱して見えた。白い髪の女性は、今老人に手を差し伸べないと、永遠に彼を失ってしまうと悟った。彼女は、老人を話に引き込む危険を冒さなければならなかった。

「そこで、子供たちを森へ送り出しました。森にはまだ多少なりとも大きな古い木々があり、子供たちが生き延びるのに十分な酸素がありそうだったからです。子供たちのグループには、それぞれ一人ずつ屈強な若者を同行させました。愛にあふれた、恐れを知らない若者、子供たちを守ると約束して選ばれた若者です」

老人の頭の中に、ある言葉が何度も襲いかかってきた。やめてくれ、もうやめてくれ!

「そして今夜、遠い昔に子供たちを守るために送り出された若者のひとりが、私たちと共にいらっしゃいます。あの方が、今夜のお客様です!」全員が老人のほうを振り返って見た。老人の頭の中は、「うそだ。そんなのうそだ」という言葉ではちきれそうだった。

老人は思わず立ち上がり、全員に向かって叫んでいた。「うそだ!」 そして彼は、自分がやったことを今ここで話さなければならない、と悟った。「確かに、私は子供たちを守るために送り出された若者のひとりでした。でも、恐れを知らないわけでも、愛にあふれているわけでもなかった。怖かったから、森に行ったのです。子供たちのことなんてどうでもよかった。自分が死にたくないだけだった。おわかりいただけますか?!」

「それに、私は選ばれたんじゃない。頼み込んだのです。どうか自分に行かせてくれと。そして、あの奇妙な日が森に訪れました。なにもかもが、目もくらむような光に満たされました。とてつもなく強烈な光です。なにか恐ろしい大惨事が起きて、その爆発の光に違いなかった。私は逃げ出しました。そうです。子供たちを残して私は逃げ、洞窟に隠れたのです。それ以来、ずっと洞窟で暮らしてきました。子供たちがどうなったのか、私は知りません」

ふと、奇妙な考えが老人の心に浮かんだ。ここで自分を見つめているのは、成長したあのときの子供たちだ。自分を裁くために戻ってきたのだ。「そうなのです」老人の言葉はゆっくりと、途切れがちになった。「私は、あなたたちを置き去りにしました。あの目もくらむような光の中で、犠牲になることを知りながら…… 私は自分のことしか考えていなかった。恐れでいっぱいだった。 だから逃げたのです。違う行動を取れたなら、どんなによかったことか」

老人は椅子に座り込み、ぼんやりと床を見つめた。恥ずかしさと、罪の意識、そして安堵から、涙がほほを伝って落ちた。今まで誰にも打ち明けたことがなかったのだ。白い髪の女性は老人が目を上げるのを待ち、やがてたずねた。

「あなたが洞窟に逃げ込んでから、何が起こったか知りたいですか?」老人はうなずいた。「私の話の結末を知りたいですか?」「ええ、ぜひ」と老人は身を乗り出して答えた。

「さて、子供たちを森に送り出した後、残された私たちは、運命を受け入れるより他に道がなくなりました。受け入れたら、恐れは消えてしまいました!私たちは、もはや恐れていませんでした、世界の終わりさえも。地球全体が深い平和に包まれました」

「そして終わりの日が来ました。皆が決められた時間にテレビの前に集まると、ゴッドマザーと呼ばれた女性の顔がそれぞれの画面に映し出されました。そして、彼女はこう言いました。

『あなた方の課題はほぼ終わったようなものです。戦争を平和に変え、恐れを信頼に一変させたのです。みなそれぞれよくやりました。次なるステップは単純すぎて、あっけにとられるかもしれません。共に協力し合い声をひとつにして、自分自身を内なるパワーに開放するだけなのですから』

『今あなたがたは、自分の存在についてのあらゆる真実を受け入れる用意ができているので、はるか昔から心の中に閉じ込められていた宇宙のパワーに身をゆだねることができるのです。そこに、より幸福な世界が待っています。さあ、共に渡って行きましょう。互いの心を開き、声をひとつにしましょう!』

そして、これが地球の誰もが口にする言葉になりました。私たち地球の人間は、一致団結して愛と信頼のパワーに心を開くのです」 「このような言葉が、やがて時を同じくして地球上の愛に満ちたあらゆる人によって語られるようになり、すべてが変わりました。蝶がさなぎの中で感じた恐れと暗闇を脱ぎ捨てると、地球は天上で輝く真珠のようにきらめきました」

ゆっくりと頷きながら、老人はそこに座っていた。今彼は、あの奇妙な日に森で何が起こったのかを知った。眩いばかりの光のきらめきは、人間の心の内に閉じ込められたパワーが弾け出したものだったのだ。しかし、人間の運命のその瞬間は老人のそばを素通りしていった。彼らが前に進んだとき、老人は恐れのあまり洞窟に駆け戻った。

老人は、もう一度チャンスが与えられるのを心の底から望んだ。老人が座っていたので、ゴッドマザーは立ち上がり彼に向かって歩きはじめた。それで、彼らが自分の元に戻ってきたことが真実であると分かったのだ。老人は立ち上がって彼女を迎えるために前に歩み出し、挨拶しようと手を差し出した。

彼女が両手で老人の手を取って彼の目に微笑みかけたとき、老人は自分も光で満たされ、心は歓喜で溢れているのを感じた。周りから歌や笑い声が聴こえると、彼は口元を震わせながらかすかに微笑んだ。祝宴は始まった。最後のひとりが光の中へ渡ったのだ。

原文はこちらです。対訳形式になっていますので、参考にしてみてください。
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by 892sun | 2008-06-23 13:44 | Trackback

第10話 変わり谷

アメリアという翻訳者ネットワークが主催している、スピリチュアル・エンデバー翻訳プロジェクトサイトから、会員の方が翻訳された心温まるスピリチュアルな短いお話を転載しています。

変わり谷 パトリック・ドライスデイル作  翻訳者 RODYさん、すずめさん、HIROMIKさん

昔々、あるところに変わり谷という町があった。町の人は芝居好きで、それぞれが違った人物になりきっていた。皆ちょっとした遊びとして、様々な役を演じることを楽しんでいた。町のこちら側に住む男は、光り輝く鎧を身にまとった騎士になりきっていた。そして町のあちら側に住む女は、自分を悩める乙女だと思い描いており、役柄どおりに2人は互いに惹かれ合っていた。

中には、自分は世界を救うという使命を担った、天の使者だと思い込んでいる者さえいた。初めのうちは、今日はこの役、明日はこの役と演じ分けることを皆楽しんでいた。しかし、しばらくすると、楽しかったことも単調でつまらなくなり、いつしか同じ役を繰り返し演じるようになっていた。

そしてさらに日が経つと、変わり谷の人々はあまり長いこと同じ役を演じ続けていたせいで、空想から生まれた役が自分自身だと信じるようになった。役から抜け出すことがしだいに困難になり、ついには着けていた仮面が顔に貼りついていった。

ある日、1人の賢い魔術師が町を通りかかった。人々の顔に仮面が貼りついて取れなくなっているのを見て、魔術師は地元の新聞社へ足を運んだ。そして「奇跡の仮面取り剤」のデモンストレーションを無料で行うという広告を出した。

「ベトベトしたスプレーも面倒なパウダーも不要!」広告にはこう書かれていた。
「使い続けることで仮面が取れること間違いなし」

変わり谷のほぼ全員がこの広告を目にしたが、やってきたのはほんの数人だった。ほとんどの人は仮面を着けることに慣れてしまったため、仮面を着けているなんて思わなくなっているのだ
と魔術師は思った。それなら、実演を見ても自分には何の役にも立たないと思っても無理はないというものだ。

デモンストレーションの夜、魔術師は無料で仮面取り剤を配り、使い方を説明した。そして参加者に向かって、自分で作り上げた役を演じているということに気づいて欲しいと訴えかけ、演じている役を自分自身だと思い込んでいるだけなのだと力説した。

「あなた方はとても長いこと仮面を着けてきました」魔術師は言った。「そのために、仮面を着けていることすら忘れてしまったのです。でも、私が説明したことを毎日実践すれば」魔術師は続けた。「いずれ仮面は取れるでしょう」 そう言うと魔術師は姿を消した。

魔術師の商品をなかなかよさそうだと思う者もいたが、それでもまさか自分が仮面をまとっているとは信じなかった。彼らはもらったボトルを持ち帰りはしたが、決して使うことなく、仮面の役を演じ続けた。その役こそが自分だと信じながら。

中には、自分だと思い込んでいた姿が、本来の自分ではないと魔術師に言われたことに腹を立てる者もいた。彼らは、あの男は大のペテン師だと変わり谷の人々に言いふらした。しかし、デモンストレーションに参加した人の中には、仮面取り剤を試した者もいた。

慣れないことだったので、毎日使うのを忘れてしまう人がほとんどだったが、思い出した時には魔術師に言われたとおりに使ってみた。そして仮面が剥がれだして、やっと自分は仮面を着けていたんだと信じるようになった。1人また1人と、思い切って魔術師の教えを実行する者が現れ、自分本来の顔を再発見することができたと大変な喜びようだった。

この顔こそが見覚えのあるかつての自分の顔なのだと気づいた人々は、魔術師が町にやって来たことを感謝せずにはいられなかった。魔術師は、町の人々が本来の自分に戻る手助けをしたのだった。

さて、あなたも本当の自分を発見してみたいと思われたでしょうか? もしそうならば、次の3つの簡単な原則を覚えておいてください。

1つめの原則は、本当の自分を発見するのに何かをする必要などはなく、ただ理解するだけでよいということです。

ここで大切なのは、これまでに身につけたさまざまな自分らしさの中に本当の自分が紛れ込んでいるという点です。身体、性格、思想、感情、家庭、経歴、銀行口座など自分の証だと思われるどんなものも、実は、自分自身ではありません。それらはちょうど朝起きて着る洋服のようなもので、決して自分自身ではないのです。

そのような仮の自分を捨て去ると、これまでの生活の中で納得できていたことに違和感を覚えることがあります。自分が変わると好みやものの感じ方まで変わる、というのはよくあることです。古い洋服や日記などの所持品を整理し、選別し、処分したいという衝動に駆られるのは、何か健全なことが起こり始めているという明らかな兆しの1つです。

例えば、手持ちの洋服の半分が気に入らなくなるかもしれません。ソファーの張替えをしようと思ってみたり、あるいはあっさりと捨ててしまうかもしれません。音楽の好みが変わることもあります。気づいたら突然歌い始めたり走り出したりしていた、などということもあるかもしれません。つまり、自分本来の好みや個性が現れ始めるのです。これは心の鏡のくもりを取り除くという過程なのです。

この過程を経験する前は、仮の自分と本当の自分との区別が曖昧だったのに、仮の自分を捨て去るにつれ、より鮮明な自分の姿が心の鏡に映し出されるようになるので驚かれるかもしれません。つまりは自分でも知らなかった新しい好みを知ることになるのです。例えばツタが好きだと思い始めるかもしれません。それなら、何故あなたはこんなにもたくさんのサボテンを育てているのでしょうか?あるいは茶色が嫌いになったりします。みんなが素敵だという茶色のセーターを着ても、自分ではどうもしっくりこないとあなたが感じるのも無理からぬことです。

私たちは他人に「あなたはこんな人間だ」と決められた自分を受け入れるのに慣れているため、こんなふうに思いがけない自分が表に出てくると、あまりにも自己主張が激しくなっているように思えることがあります。けれども実際はそうではないのです。

2つめの原則は、自分のことは何もかも分かっていると決めつけないことです。自分が思うよりもずっと多くの要素が自分という人間全体を作り上げています。現在の自分を見て「自分のことは分かっている」と思うのは、氷山の一角を観察して全体を把握したと思い込むようなものです。

実際には、あれをやろう、これを言おうということの大半が無意識のうちに決定されるのですから。例えば、私たちの行動の大半は、無意識のうちに他人を真似ることによって身につけたものです。人間とは妙な生き物で、見たり聞いたりしたものはとりあえず何でも真似するという習性を生まれつき持っているようです。信じられないかもしれませんが、私たちの言動のほとんどは、まず先に誰かがしたり言ったりしたことに起因しているのです。

私は以前、こんな実験をしてみたことがありました。それは、人は自分でも気づかないうちに他人からの影響で行動を変えるものかどうか、といったものでした。期間は1ヶ月と決めました。
そして毎日、人と話をするときに意味のない決まったジェスチャーを繰り返すことを試みたのです。さて、結果はどうだったでしょうか……。

なんと1ヶ月も経たないうちに、2人が私のたわいもない身振り手振りに似かよった動作をするようになっていたのです。このことから、人間は他人の動作を見ると無意識のうちにそれを真似てしまうという私の予想が確かなものになったのでした。

他人に影響を及ぼすのがいかに容易かがわかったあと、私はある事実に気づきました。人に行動を変えさせたければ、まずこちらの行動を変えなければならないのです。これはどういうことなのでしょう?それはつまり、人は誰かにお手本を示されて初めて新しい行動を取るということなのです。一度それを目の当たりにすれば、あとは何の疑問も持たずに自ずと新しい行動を真似るようになります。どうやら、「見たものを真似せよ」というのが無意識の法則のようです。

そして最後にもう1つ。ぜひとも気づいていただきたいのは、誰も、そしてどんな状況でさえも、あなたがありのままの自分を体験するのを妨げることはできないということです。あなたが生まれ持った自己は、今この世で生きている間にこそ享受できるものなのです。それは本来の自分の再発見であり、ほんの一握りの特別な人だけが味わえるものではありません。それは、精神的な成熟に達するための内面的発達なのです。

辛抱強く続ければ、きっと本当の自分に気づき始めることでしょう。そしてさらに重要なことに、偽りの自分に気づき始めるはずです。ぜひわかっていただきたいのは、そのために特別な準備はいらないし、今すぐにでも始められるということ。そして、あなたが懸命に続けた努力は、決して無駄にはならないということです。

まずはこう考えてみてください。微かな光をたどっていけば、いつか明るい場所にたどり着くのだと。何事も、そういうものです。さらには、「たかが1セントほしさに王の元へ出向く者などいない。王に謁見しようとする者は、それ相応のものを求めて行くものだ」と同じ考え方を、あなたの内面生活にも当てはめてみて欲しいのです。そして、大胆な望みを持ち、自らの真の人間性を最大限に感じてください。恐れず求めてみれば、そのぶん得るものも多いはず。すべてが1つに繋がっているという全体性を得られること請け合いです。
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by 892sun | 2008-06-22 09:42 | Trackback

第9話 真理探究の旅を重ねて

アメリアという翻訳者ネットワークが主催している、スピリチュアル・エンデバー翻訳プロジェクトサイトから、会員の方が翻訳された心温まるスピリチュアルな短いお話を転載しています。

真理探究の旅を重ねて――いま、ここに生きてこそ デビッド・ゾーイ作 
翻訳者 TOPPAさん、雀さん、nankoさん

ウェインは、愛する時がやって来るのをずっと待っていた。生きとし生けるすべてのものと心の交流を始めたいと思っていた。 愛にふさわしい人間になるためには、その前になすべきことが常に横たわっているように思われた。 寛大さを示し、悪癖を直し、一日中瞑想に耽り、黙想を重ね、孤独に苛まれる。幾度となくそんなことを繰り返してきたが、いまだにその時は訪れそうになかった。

そんなある日、内なる声がとてつもなく深く共鳴し、ウェインはそれに従わずにはいられなかった。 声が導く先はどこなのだろう。 新たな探求の旅ができるのかウェインには自信がなかった。旅にはいつも霊魂の暗夜がつきまとっていた。 もうひとりぼっちの旅に出たくはなかった。結局はもとの場所、誰もがたどり着くその場所に戻るだけなのだから。

そう、ここに。そこまで考えが及んだ時、内なる声が一段と深まった。それは果てしなく広がっていき、愛と気づきの波の中でウェインは高みへと押し上げられた。 それは、欠けるもののないすべて、完全という強烈な感覚だった。 「これがそうなのか」ウェインは自問した。 「これがすべてなのか」どこへ行く必要も、何をする必要もないということなのか。

これまで何度も探し求め、自分の尾を追いかける犬のように堂々巡りしたあげくに、ようやく見出した答え。求めるものは、ここにあったのだ。これがすべてだったのだ。このわたしでさえも、常識はずれの判断や意味のない心の呟き、さらには不安定な感情や強迫観念もすべて抱えたままでよかったのだ」その瞬間、時間という概念は消え去った。

同時に、永遠というものは、もはや頭の中で想像するだけの概念ではなくなり、人生で初めての現実の体験となった。理解への扉が大きく開け放たれたことで、それまで隠されていたすべての被造物の根本をなす真理が、次から次へと明らかになってきた。

氷の山も春の陽射しに照らされて溶けていくように、彼がかつて、あれほど明確に持っていた境界線はじわじわと消えていった。かつての自己から、内なる自己への目覚めは、彼の本質が次々と開花していく瞬間であり、まさしく、無数の花びらをつけるハスの花のごとくであった。

かぐわしき香りが、ものごとを隔てていた壁を取り払った彼のまわりに漂っていた。聖なる調べが、まさに彼の内なる自己から奏でられていた。彼自身が天球の音楽であり、いにしえの星々であり、生まれ出ずる銀河であり、地上に流れる光と愛を運ぶ川なのだ。そう悟ったとき、彼は万物と一体となった。

ようやく幼子のような無垢な心で夢を追うことができるようになった。いかなる場所とも、いかなる物とも、さらにはいかなる者とも繋がっていると悟ったことで、万物と自身を重ねることができたのだ。 「なんという愛だろう」その愛はいや増すばかりだった。「なんという幸福と喜び!なんというやすらぎと調和!なんという一体感だろう!」その感覚も強まるばかり。

もはや彼の中に、境界線はなかった。彼はようやく知った。人から愛される価値のある人間になろうと、旅をしたり、探求を続けたり、信念を持ったりしてきたが、そうすることが、内なる自己への到達からも、今のすべてを受け入れることからも、つまり喜びの高みから絶望の淵まで、万物と一体となることからも、遠ざけていたのだと。

過去においても、現在においても、彼もまた、神だったのだ。過去においても、現在においても、ずっと万物と繋がっていたのだ。今の自己に価値を見い出そうと、方々を訪ねたり、あれこれしなければと信じている限り、内なる自己に気づくことはできなかったのだ。万物との繋がりを持った内なる自己には、境界はない。それは、同じ本質から成るスピリチュアルな存在であり、あらゆる実体を生成しているものなのだ。これは偶然だったのだろうか? 万物と一体になれるのはここだけ、今だけだと理解した矢先に現実となったのは?

これは単なる皮肉だったのだろうか? 探求をやめたまさにそのときに探求が終わったのは? しかも単に終わるだけでなく、「今、ここ」という事実、そういう真実の姿が、すでにずっとあったことさえも、明らかになったのだ。 笑うしかなかった。他者をとがめたり批判したりする必要なんてなかったわけだ。

永遠の存在として、この試合、この探求、これらの劇を共に創造したのは、「万物」が自らに飽きあきしないようにするためなのだ。ついにそう理解した。 時間は問題ではなかった。永遠を知った者にとって、時間は問題ではないのだ。

急ぐ必要があろうか? 自分は限りある存在ではないのだから。焦る必要があろうか? 私たちはいつだって自由だし、試合には終わりの笛などないのだから。劇に終わりがあるとすれば、他の役を演じたりどの役からも降りることを選んだうえで、一体感の世界にもう一度入るときだけだ。それが真理なのだ。

この真理を理解したとき、他者を批判する気持ちが消えた。試合の選手や劇の俳優の世界に再び足を踏み入れるときには、すべての人が自分の思う通りの役割を務めることを、きっと受け入れるだろう。そしてもう他者を批判したりはしない。なぜなら、他者への批判は結局のところ、内なる自己への批判だという真理が見えたからだ。この内なる自己とは揺るぎないもの。自分自身であると同時に、彼であり、彼女であり、これであり、それであり、これらであり、それらであり、私たちであり、彼らであり、ここであり、そこであり、そして「万物」でもあるのだ。

このウェインこそ、私たち自身である。 デビッド・ゾーイ

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by 892sun | 2008-06-21 10:56 | Trackback

第8話 イカボッドとリリー

アメリアという翻訳者ネットワークが主催している、スピリチュアル・エンデバー翻訳プロジェクトサイトから、会員の方が翻訳された心温まるスピリチュアルな短いお話を転載しています。

イカボッドとリリー  テレーズ・モリン作  翻訳者 Yukikiさん

これから始まるのは昔から語りつがれている物語
ふとっちょじいさま猫のイカボッドと、ものまね大好きねずみリリーの昔話 
まれにみる才能をもち、生まれつきものまね上手なリリー
どんなに人を困らせても、なんにも気にしちゃいないリリー


イカボッドのおかしな猫歩きを見て、リリーもまねして歩く
1歩1歩大げさに歩いて、イカボッドの後をついていく
見つかれば、すぐに捕まえられちゃうって知ってるのに
間違いなく食べられちゃうってわかってるのに

大きくてまあるい切り株の上でうたた寝するのが大好きなイカボッド
だいじなことは腰をすえてじっくり考えることもあるイカボッド
日陰で何にもしないで長い時間過ごすこともある
あちこちえものをねらってはつかまえて、1日過ごすこともある

じいさま猫イカボッドの住む切り株は、リリーにとっても帰る場所
切り株の根元をがりがりかじった小さな穴が、リリーの暮らすところ
全力でイカボッドに気づかれないようにするのが、リリーお気に入りの遊び
いばってみえるイカボッドが、ホントはおとなしいことも知っている

ときどきイカボッドの目のはしに映るリリー
でも捕まえるのは面倒だから、見てみぬふり
リリーはイカボッドの鼻をつねり、しっぽをたま結びにし、ひげを引っこ抜く
イカボッドはすぐにがまんの限界 リリーをそこらじゅう追いかけ回す

なんにも起こらない日、それはまるで平和に満ちているよう
でもイカボッドの眠ってるすきにリリーが考えるのは、どうやってイカボッドを困らせるか
あるときリリーは、イカボッドのしっぽを後ろ足に結んだ
起きぬけに、イカボッドはいやな気分を味わった
イカボッドはうまくいきそうな作戦を思いつく リリーに不意打ちを食わせてやろう リリーが側にやってくるまで、ただ眠っているふりをして次の瞬間とびかかり、リリーに思い知らせてやろう

リリーをじっと見つめ、食べてしまおう 始末するには遅すぎた
やっとチャンスがやってきたのに、なぜ、あらわれては消えるのか
こらしめる作戦を考えるたびに、怒りが少しずつすり減っていく

ある日イカボッドは考えた 「もしこの厄介ものをぺちゃんこにしたら、どうなるだろう?」
「リリーがいなくなったら、誰がわしを訪ねてくるというのだろう?誰が遊び相手になってくれるというのだろう?」

だからイカボッドとリリーはそれまで通りの生活を続けることにした
リリーはイカボッドをからかい、イカボッドはリリーをこづく それがずっと同じ場所でくりかえされた どのくらいこんな生活が続いたのだろうか この話をする人もいなくなり わかっているのは、2匹が互いにかけがえのない存在だったことだけ

イカボッドとリリーはどこかに行ってしまったと伝えられ 2匹が住んでいたとわかるものは、あとに残された切り株だけ でもときどき、この2匹が見える人もいるらしい ふとっちょじいさま猫イカボッドが、リリーをひざの上でぴょんぴょん遊ばせる姿を

原文はこちらです。対訳形式になっていますので、翻訳の参考にしてください。

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by 892sun | 2008-06-20 08:50 | Trackback



この世の仕組み、本当の生き方はもう分かりましたか?地球は次元が変わります。準備は整っていますか?心霊研究家のつぶやきに耳を傾けてください。
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