我が家の庭と称している公園には以前から住み着いている住人が一人いる。一時数人に増えたこともあったが、厳しい立ち退き要求などもあって一番古い彼だけが未だに頑張っている。この寒い冬空に工事のブルーのシートを雨よけにして生活している。ここは東京都の管理下でもちろん違法である。歳のころは40前半といったところで、その気があるならまだまだ働き盛り、男盛りなのに、朝から酔っ払って管を巻いていることもある。何があったか知らないが、社会復帰するよりは、この厳しい寒さでもこの暮らしのほうがいいらしい。話合ってみたわけではないから彼が何を考えてこのようにしているのか理解出来ないが、私から見るとすでに人間としての尊厳を失っているように見える。残飯をあさってまで自由でいたいのか。人間に与えられた自由について考えたことがあるが、それはあくまで限られた範囲のなかでの自由であり、自分の勝手気ままな我侭放題の何でもありの自由ではない。やりたくないことや、辛いことを我慢するなかから成長するのだ。そういったハードルを全て拒否して野の動物とたいして変わらぬ生き方を選ぶのも選択肢の一つには違いないが、あまりに情けない。こんな人にも守護する霊は付いているのだが、さぞや嘆いておられることであろう。