ひとりごと、ぶつぶつ

今日は死ぬのにもってこいの日

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人間は物質文明を発達させたから進化しているわけではありません。人生の意味を知り、何故生まれてきたのか、自分が何者であるかを悟ることが、なによりも大切なことで、それが分かった時、私たちは正しい死生観を持つことができます。肉体を含む物質は単なる媒体に過ぎませんが、私たちは物欲をなによりも優先させ、その豊かさを追求してきたのではないでしょうか。

今日はネイティブアメリカンの詩を紹介します。物質的には貧しい生活を送りながら、最も霊性の発達した民族です。最も霊性の低いアングロサクソン民族に代表される白人たちから迫害を受けながらも誇りを失わず、平然として受け入れて生きていることに感銘を覚えます。

たくさんの冬を
わたしは生きてきた
終わりない夏と戯れ、疲れきった大地を
最初の雪が降ってきて覆いつくした
時のそもそもの始まりから。
たくさんの冬

わたしは山々の頂に水を捕らえて放さなかった、
月と太陽がみごとな円環を創り出した大地の始まり以来
まだ冷めやらぬ山々の頂に。
たくさんの冬
わたしは星たちを至るところに吹き飛ばした、
それぞれの星が落ちゆく先を
冬の陽の路に沿って
海と川が流れゆくように。
たくさんの冬
木々はわたしとともに寝た、
獣たちはわたしの胸の上を歩きまわり
鳥たちも夜寒の辛さを和らげようと
わたしの火のそばに近づいてきた。

たくさんの冬
わたしは孤独な月を友として生きてきた、
その月があとを追う灼熱の太陽は
大地を冬から解き放つ前
わたしたちの感謝の歌に聴き入った。
たくさんの冬を
わたしたちは生きてきた、
融けてゆく雪の中から、ひ弱な花が現れて
わたしは春の精です、と言った
時のそもそもの始まりから。

冬の木は
まるで親父の顔の皺みたいだ、
それとも
わたしがまだ若くて
悟りへの明快な一本道を
探しあぐねていた頃に通ろうとした
たくさんの小道みたいかな?
一本一本の枝には
さらに小さな枝があり
辿っていくと
いろんな結末、いろんな悲しみが待っていた。
枝は、わたしの体重を支えるには
どれもこれもひ弱すぎて折れてしまい
まごついてわたしは下に落っこちた。
冬、
たくさんの小道のように
絡まりあった裸の枝を
空に向かって高々と伸ばしている木を見た、
だが道は
それぞれが目的をもっていて
その木の根っこに帰ろうとしていた。

もしもおまえが
枯れ葉ってなんの役に立つの?ときいたなら
わたしは答えるだろう、
枯れ葉は病んだ土を肥やすんだと。
おまえはきく、
冬はなぜ必要なの?
するとわたしは答えるだろう、
新しい葉を生み出すためさと。
おまえはきく、
葉っぱはなんであんなに緑なの?と
そこでわたしは答える、
なぜって、やつらは命の力にあふれてるからだ。
おまえがまたきく、
夏が終わらなきゃならないわけは?と
わたしは答える。
葉っぱどもがみな死んでいけるようにさ。

冬じいさんは
雲に乗って北の方から吹き込んできた、
山の上に寝っ転がって
雪で山を包んでしまった。
下の谷まで手を伸ばして
木から葉っぱをはぎ取った。
両手で湖を包んだら
底まで冷たく凍ってしまった。
うなり声のような息を吐き出すと
国中の川が、その源で止まるのだった。
冬じいさんが地上を歩いたら
草という草が全部凍てついた。
仕事がすっかり片付くと
冬じいさん、体を丸めて横になり
グウスカ眠ってしまったとさ、
みんなを自分に引き寄せて
獣も
土地も
人間も。

大地だけが生きつづける。
自分の人生がわからなくなったり
自分がなぜ人に聞き入れられないのか、わからなくなったとき
わたしが話しかけるのはいつも大地だ。
すると大地は答えてくれる、
かってわたしの先祖たちが
悲しみの涙で太陽が見えなくなったとき
彼らに歌ってやったのと同じ歌で。
大地は歌う、歓喜の歌を。
大地は歌う、称賛の歌を。
大地は身を起こして、わたしを嗤う、
春が冬に始まり、死が誕生によって始まることを
わたしがうっかり忘れるたびに。

わたしは醜いものを眺めながら、そこに美しいものを見る。
はるかわが家を離れていながら、故郷の友たちに会う。
うるさい音を聞きながら、その中にコマドリの歌を聞く。
人込みの中にいても、感じるのは山の中の静けさだ。
悲しみの冬の中にいて。思い出すのは悦びの夏。
孤独の夜にあって、感謝の昼を生きる。
けれど悲しみが毛布のように広がり、もうそれしか見えなくなると
どこか高いところへ目をやって
胸の奥深くに宿るものの影を見つける

わたしたちは、次のことを信じている。
わたしたちすべての母は大地だ。
父は太陽だ。
祖父は、彼の心でもってわたしたちを洗い
すべてのものに命を与えた創造主だ。
わたしたちの兄弟は、獣や樹木。
姉妹は、あの羽根のある生き物。
わたしたちは大地の子、
だからそれを傷つけない。
朝の挨拶を忘れて
太陽を怒らすこともするまいぞ。
わたしたちは、祖父が創ったすべてのものを
心から讃めたたえる。
わたしたちは、みんな一緒に同じ空気を吸っている
獣も、樹木も、鳥も、人も。

この土地は、静かで落ち着きがある。
黄金色の光を浴びていて
それがへりのギザギザを削ってくれる。
だからすべてが、ぴたりと決まってるのだ。
いつも太陽を目に入れてるから
曇り日にしか見えない欠点は
見ようたって見えやしない。
冬でも、この土地にいると心が安まる。
起伏が実になだらかなので
地平の彼方まで目をやると、目が疲れて重くなる。
眠っている木々が、あちこちで枝を天まで伸ばしている。
わたしたちの畑や馬たちも、あちこちで眠っている、眠っている。
だから、わたしたちがこの土地をこんなに愛していても
別に不思議はないだろう?
地の鼓動に合わせて踊り、そして気づくのだ
これこそわたしたちのリズムだと。

冬の手が
世界の支配権を太陽に譲り
川面の堅い氷が
春の訪れを口ずさみはじめたなら
わたしは大地そのものの中へ入ってゆかねばならない、
わたしが生まれ出たその源を知るために。
わたしはうつ伏せになってみる、
木の葉の歴史を積み重ねた地面に。
わたしは嗅ぐ、
身を震わせて、無垢で緑なるものの誕生を許す
豊かに湿った土の匂いを。
指で柔らかな土に触れてみる、
この土地が、かって起こった
すべての誕生と死を含むことを知って。
わたしは耳を傾ける、
自らに満ち足りて
今、目覚めようとしている大地についての
ささやきのような叫びに。
小枝を楊枝のように歯にくわえ
わたしは感じてみる、
太古の死から生まれた命が流れる、木々の生長を。
自分の体を土で覆ってみる、
わが生の季節がどんなに快いものか
まだ生きているうちに知ることができるように。

大地の皮膚は
その欠点を覆い隠す、
わたしの顔が
その膨大な頼りなさを覆い隠しているように。
土の乾いた割れ目を見れば
それが傷を負い、血を流したことがわかる、
ちょうどわたしの精神が
人に負った傷から血を流したと同じように。
土は自分で自分を治した、
痛めつけられたその顔を、時が横切ってゆく間に。
けれど、いったい何がわたしを治してくれるというのだろう?
わたしの土地とわたしが一体となれるよう
わたしの顔に皺を刻んでくれる、あの太陽以外に。

この手で翼の折れた鳥を
わたしは運んだものだ。
この手で太陽の下
わたしはわたしの子供たちに触れたものだ。
この手で、わたしは生きた土の家を建てた。
この手で、育ちゆくトウモロコシ畑を耕してきた。
この手で、生きる術を学んだと同じくらい、殺す術も学んだ。
この手は、わたしの精神の道具だ。
この手は、わたしの怒りの戦士だ。
この手は、わたしの自我の限界だ。
この手は年老いて
わたしが昔知っていた世界に触れるべく伸ばされたが
触れることのできたのは、見知らぬ壁ばかりだった。

ここから昔を振り返って
自分の人生で憶えていることのすべては
いくつかの巨大な丸石
そして、小さくても馬鹿にはできない石たちだ。
わたしは知っている、
わたしは傷を負ったが
年ごとに新しい葉で身を装う木にように
それがひとりでに癒えてしまったことを。
わたしは知っている、
かつては悲しみにうち沈んで歩いたこともあったけれど
わたしが今憶えているすべては
心安らぐ、あの秋の光だということを。
わたしは知っている、
もし立ち止まって
世の中は失意の歌しか歌わないことに。気づいたならば
わたしの人生はもっと不幸になったろうことを。
しかしわたしは
わたしの歌のすこやかさを映す
畑や小川の世界に生きることを選んだのだ。

昼間がその目をぴったり閉じて
空がぐっすり眠ったら、
月は片顔で昇りそめ
星は夜空に穴をあける

わたしは日々年取ってゆく。
でも知っているぞ、
消えゆこうとする青春は
わたしの不確かな知恵に身を潜め
刻一刻と若返ってゆくことを。

おまえは、わたしの笑いの子どもたちだ。
おまえのためなら、月も顔を変えるだろう。
おまえのためなら、虹も空で弧を描くだろう。
おまえはわたしの希望の子どもたちだ。
おまえのためなら、道も曲がって行く先を変えるだろう。
おまえのためなら、大地も乾いた季節を諦めるだろう。
おまえは、わたしの自由の子どもたちだ。
おまえのためなら、鷲も翼を分け与えるだろう。
おまえのためなら風も夜昼となくさまようだろう。
おまえはわたしの美の子どもたちだ。
おまえのためなら、鳥も歌を諦めるだろう。
おまえのためなら、雪も花と一緒に舞うだろう。

わたしの人生はすべてダンスだった。
わたしがまだ若かったとき、土をじかに踏みながら
わたしのステップは、素早くて軽やかだった。
大地の鼓動があんまり大きかったので
そばでわたしが打つドラムなど、黙っているも同じだった。
わたしの人生のすべてが、わたしの足先から転がり出た、
見るかぎり果てしないわたしの国のように。
わたしの人生のリズムは、純粋で自由だった。
わたしが大きくなるにつれて、足は激しく踊りつづけた、
とうとう地面に穴を空けてしまったぐらい
それからついでに空にももう一つ。
わたしは太陽のために踊り、雨のために踊った。
すると月がわたしを空まで引き上げてくれた、
星のためにも踊れるように。
頭はときどき雲に触れ
踊る足が、深く地面に突き刺さった。
だからわたしは音楽となり、それに合わせてどこででも踊った。
それは命の音楽だった。
今やわたしのステップは、のろくてぎこちない、
そしてわたしの体は、心を裏切る。
そのくせわたしのダンスは、まだわたしの内にあり
わたしの歌は、わたしが呼吸する空気だ。
わたしの歌は言い張る、すべての大地や空とリズムを合わせよと。
わたしの歌は言い張る、わたしはけっして死ぬことはないと。

今日は死ぬのにもってこいの日だ。
生きているものすべてが。わたしと呼吸を合わせている。
すべての声が。わたしの中で合唱している。
すべての美が。わたしの目の中で休もうとしてやってきた。
あらゆる悪い考えは。わたしから立ち去っていった。
今日は死ぬのにもってこいの日だ。
わたしの土地は、わたしを静かに取り巻いている。
わたしの畑は、もう耕されることはない。
わたしの家は笑いに満ちている。
子どもたちは、うちに帰ってきた。
そう、今日は死ぬのにもってこいの日だ。



「今日は死ぬのにもってこいの日」より ナンシー・ウッド著、メルクマール社刊

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by 892sun | 2011-06-16 12:38
<< 学歴尊重を批判する マシュー君からのメッセージ、その46 >>



この世の仕組み、本当の生き方はもう分かりましたか?地球は次元が変わります。準備は整っていますか?心霊研究家のつぶやきに耳を傾けてください。

by 892sun
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