ひとりごと、ぶつぶつ

長寿の薬

原始社会で力のあるものといえば、体力、武力に秀でた者だが、文明社会、特に資本主義社会において力の強い者といえば資本力をたくさん集めた者、つまりお金持ちのことである。その社会システムもいきつくところまでいきつけば、勝者と敗者ははっきりと区別される。勝ち残った者は贅沢の限りをつくしやりたい放題の生活なのに対し敗残者は働けど働けど生活が楽になるわけではない。

そんな絶望的社会に久し振りに明るいニュースが流れた。G博士が長寿の薬、ロング・ロング・ライフ(LLL-トリプルエル)を発明したというのであった。不老不死といえば人類の長年の夢であり多くの学者がこの命題に挑戦してきたのだが、今まで成功したことはなかった。クローン技術を応用したり、DNAの操作をしたりと、あと少しでうまくいきそうになるのだが、結局は失敗に終わった。しかし今回はいろいろな専門家たちの執拗なテストもクリアーして、トリプルエルを飲めば確実に細胞が10年は若返るということがわかった。

G博士は心のきれいな人物だった。開発には自分の資産をすべて使い果たすほどであったが、それでこの薬が一部のお金持ちたちだけの手に入るようなシステムは避けて、どんな貧しい人たちにも平等に手に入るように安く設定し、販売も抽選方式で長生きしたい人には誰でも飲めるように考えた。一度当たった人は次からは抽選には参加できず、国中の人々が皆長生きできるようになるはずだった。人々は死の恐怖から解放され皆幸せになるはずだった。

ところが、それから10年たって、全員が薬の効果で若返ったり死の淵にいた人が生の喜びを噛締めているはずだったのに、統計を取ってみると、やはり死ぬ人は減らず世の中は昔と変わっていなかった。お金持ちは贅沢の限りを尽くし、やりたい放題。貧しい者は次々と死んでいった。長寿の薬は効果がない偽薬であったのか。

いいや。博士の発明したトリプルエルは確かに細胞を若返らせ死を遅らせることができたのだが、抽選で権利を持った人達から、お金持ちたちが高いプレミアをつけて薬を買い取っていたのだった。貧しい者たちは血を売り娘を売り、内蔵を売るぐらいだったからトリプルエルが高い値段で売れると分るとみんな金持ちたちに売ってしまった。だいいちこんな苦しい生活を続けるくらいなら死んだほうがましだと思っているものがほとんどだった。貧しい人たちは長生きしたいなどと誰も思っていなかった。  おしまい。 癒しのための短いお話たちより

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by 892sun | 2013-03-24 10:09
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