公園は眩しいばかりの新緑に満ちて、風も肌に清しい。いつものようになつめちゃんを連れて歩いていると、10メートルほど先を歩いていた親子のお母さんのほうが、息子(まだ小学生か)を叱っている。離れているのに、こちらまで聞こえてくるような大声である。息子は、ひとことも口答えせず、うなだれて体を硬直させている。これが初めてではない。もう何ども、同じような光景を目撃していて、一緒に散歩していた友人も、この親子のことは知っていた。私は、彼らを追い越しながら、「叱るのはいいけど、どこか見られていないところでしたらどうかね」と言った。
私は今時の親の躾がなっていないことを知っている。躾は小学生までに終えなさい、とも言っている。でも、この親子のは、どう見ても躾というよりは、親が子供の落ち度を材料にして自分の日ごろのストレスを発散しているようにしか思えない。愛情が感じられないのだ。日常的に何かがあると、子供を公園に連れ出して、大声で怒鳴っている。私の言葉に「関係ねーだろ」が返事で、無視したようにしていたが、それでも暫くしたらどこかへ行ってしまった。
やれやれ、大変な親を選んで生まれてきたね。こんな親を選んだからには、相当の覚悟が出来ているというです。ということは、子供の方が、お母さんの魂よりも成長しているということだろう。私に言われて、余計にむしゃくしゃして、また八つ当たりを食らっているんじゃないかと心配になった。見て見ぬ振りもできたけど、子供にだってプライドってもんがある。人目につくところで大声で叱られたら、あの子は大きなダメージを受けたまま成長するのだろう。これでもう叱られるときは、人前でなくなればいいのだけれど。
横浜・軽写 10