私の生まれたのは、愛知県宝飯郡塩津村というところで、名前のとおり、昔は海沿いは塩田が延々と広がっていました。小学生だった時、台風13号というのが来て、家は床下浸水になりまして、これは大変ということで、それまで土の堤防だったのがコンクリートの立派な堤防が、すこし沖合い出来ました。名前も蒲郡市に変わり、堤防の内側では塩田は使えなくなって埋め立てられ、競艇場ができたりして、すっかり風景が変わってしまいましたが、私の心のなかには、まだあの懐かしい風景が残っています。
二年ぶりの帰郷になりました。十人兄弟ですが、生き残ったのは五人で、長兄はこの間81歳で亡くなりましたが、他の兄弟もすっかり老けましたが、まだまだ元気でした。私が帰ったことを口実にみんな集まって話に花が咲きました。子供のころの話になると、なんだかタイムスリップしたみたいで、また兄や姉と一緒だと、末っ子だった私は、また小さな子供に戻ったような錯覚に陥るのでした。
自転車に乗って、海岸を走ったりもしてみました。蒲郡には、江ノ島にそっくりの竹島という島があって、同じように橋が架かっています。島には八百富神社という名前の神社に弁財天が祀られていて、土地の人たちの信仰を集めています。沖合いに大島、小島という二つの島があって、渡し船も出ています。ヨットも盛んでラグーナというヨットハーバーもあります。海水浴や潮干狩り、釣り、など海で遊ぶにはとても恵まれた土地なのです。
もちろん、お墓参りも行きましたよ。山の麓のやや小高いところにあって、村全体を眺める見晴らしの良い場所にあります。今年は雨が少なくて、上の蛇口からは水が出なくて、下から水を持って登っていきました。水を切らさないようにしているので、アマガエルが住み着いていて、赤いほうずきの実にちょこんと乗っていました。