ひとりごと、ぶつぶつ

2007年 11月 25日 ( 1 )

第33話 嫉妬に身を焼く

旧知のT警部から電話があった。
「いやあ、参りましたよ。いろんなヤマを踏んできたけど、こんなホトケさんを見たのは初めてでしたよ。ここは是非センセにも見ていただいてご意見を伺いたいのです。」
私が超能力やら、不思議なことの研究をしていることを思い出したらしい。

警部の話を要約すると次のようなことだった。駅前商店街のはずれにあった古本屋のタナベ書店のおばあちゃんが亡くなった。焼死だと連絡がきたので検死に立ち会ったのだが、どうも確かに焼死であるのは間違いないにしても、その死体の様子が不思議で過去の経験則では説明不可能で困り果てているということらしかった。

タナベ書店のことなら良く知っていた。ご主人の本好きが高じて戦後すぐに駅前商店街のはじのほうへ店を出したのだと聞いていた。夫婦仲の良いのでも有名で、どこへ行くにもいつも互いに老体を労わりあうかのように一緒だった。おしどり夫婦というのは田辺さんちのご夫婦のようなことを言うのね、私たちもああなりたいものね、と妻も言っていた。その田辺さんのご主人も、つい半年ほど前に亡くなり、店も閉めていた。


T警部とともにタナベ書店の中へ入った。店の奥の二部屋のうち一部屋が倉庫に、もう日一部屋で寝泊まりしていたらしく生活空間ができあがっていた。田辺夫人は中央のこたつに入った格好のままで死んでいたのだが、死体が異常であった。これではT警部が驚くのも無理はない。頭部と足首を残して燃え尽きてしまっていたのである。しかし、不思議なことに、こたつとかかっていた布団及び座っていたと思われる場所の畳と床材以外は燃えていなかったのである。

少なくとも人間一人を燃やすには相当の火力が必要であるし、温度も半端ではない。胴体が灰になるような温度であれば、当然のことながら、回りも高熱で焼けてしかるべきである。この家自体が火事になっても全然不思議ではない。むしろそのほうが自然なくらいだ。ところが、このホトケさんは、どう見ても外部から熱が加わって燃えたのではなく、熱源は自分の体内にあって焼けていったようにしか見えない。

T警部は、どうですか?と言わんばかりに私の顔を覗きこんで説明を求めている。現場の状況を見た瞬間、私には何が起きたのか分っていたのだが、その原因を求めて私は、どうやら生前おばあちゃんが何をしていて、こうなったのか散らばっていた手紙の束を集めると(手紙さえ燃えていなかった)それが誰と誰との間でやりとりした手紙なのか、すばやく読んでいた。

T警部に急き立てられるようにして、私は説明を始めた。
「これは人間の自然燃焼現象、SHCではないかと考えます。こたつの電源は明らかに入っていなかったようですし、失火であれば家そのものも焼けてしまったはずです。明らかに田辺さん自身の体内に熱源があったようにしか見えません。なぜこのような現象が起きるのか不明ですが、西洋ではたびたび起きていたようで、かのチャールズ・ディケンズもこの現象記録を集めて検証していたようです。写真撮影された現場写真も残されています。日本でも調べてみれば同じような現象はあるのではないでしょうか?人体は依然として謎の多い物質です。これはあくまで私の仮説ですが、田辺夫人は夫の形見の整理中に恋の書簡集を見つけ、あれほど愛した夫が自分とは別の人との間に知らなかった秘密の時間を持っていたことに対して、驚き嫉妬したエネルギーが自らの体内を発火させるほどだった、ということではないかと思います。」 終

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秋色に染まる恋人たち6
by 892sun | 2007-11-25 15:16



この世の仕組み、本当の生き方はもう分かりましたか?地球は次元が変わります。準備は整っていますか?心霊研究家のつぶやきに耳を傾けてください。
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